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令和3年度卒業式式辞

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妄想にとらわれずに叡智のもとで

学長 中根正賢

 

この春、卒業される皆さまは、 コロナ禍の2年間余り、たいへんな試練を経験されました。慣れないオンライン授業やクラブ ・ サークル活動が制限される中、友人同士の付き合いも、これまでとは違うものになり、不安やストレスを感じることも多かった と思います。
このような状況の中でも、希望をかなえて、将来の自分の姿を思い描いている人もいるでしょう。 また一方で、就職活動が思うようにいかず、望んだ職業に就けず、いまなお思い悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
就職や進学を無事に終えた人は、社会へ研究へ責任を持って自分の道を歩んでいってください。未だ進路が決まっていない人に向けて伝えたいことは、あなた一人が困難な状況におかれているわけではないということです。
人生は、思い通りにいかないことが多いものです。それが当たり前と割り切るくらいがちょうどよい。
順風満帆の時も挫折の時も、一時、何も為さずに、全身を頭の支配から解放してみてほしい。人間は頭で考えて、いろいろなものに執着し、そこから妄想が生まれます。無限の空なる世界で、万物は形をとどめることなく移ろうものです。妄想から離れることで本当に大切なものに気づかされます。小さな殻に閉じこもると、周りの人の声が聞こえなくなります。人間一人では生きられません。いろいろな場面で、人は人に支えられ、助けてもらって生きています。自分自身が努力するとともに、周囲の人のサポートを受けることもためらわないことです。
本学の建学の精神である「大覚円成 報恩行持」、つまり万物の存在の尊厳性の中、人間は慈しみ生かされています。それゆえに感謝の心を忘れずに、叡智のもと人のため世のために持てる力を活かす。 これから社会に巣立つ方、研究の路に進む方等、多様性の中、皆さまの努力が実りあるものとなる様祈念し、祝辞と致します。