抜歯が一つの画題として絵画に登場するのは、中世における殉教者聖アポロニアの肖像画が15世紀頃から描かれ始め、またその頃から描かれてきた「歯抜き人」の絵が現存している。また16世紀になって、木版画や銅版画(エッチング)の技法が発明され、19世紀になると更に便利な石版画(リトグラフ)が考案され、それとともに諷刺画が流行するようになり、更に新聞雑誌などマスコミが社会に浸透すると共に、これらのメディアを通じて20世紀初頭まで抜歯を諷刺した絵画が流行した。
[戸出一郎 2004 /uploaded/attachment/2776.pdf]
展示品
ブッシュはドイツの詩人、漫画家として有名で、この絵は1860年のマンガ新聞「ミュンヘン一枚絵」に載せられたものである。貧しい農夫クラッケが激しい歯痛に苦しみ、たばこを吸ったり、酒を飲んだり、挙句に妻を叩いてみるが痛みは止まらない。ついに意を決し医者を訪れる。医者は長いガウンをまとい、長いパイプを口にして気取りながら手にした歯鍵で強引に歯を抜き謝礼を受け取る。おかげでクラッケは食事ができた。
会期:2023年9月2日(土曜日)~9月30日(土曜日)
会場:鶴見大学図書館 エントランスホール(入館ゲート前)
開館時間は図書館ホームページのカレンダーをご確認ください。
入場無料。学外の方も展示をご覧になれます。入館ゲートのチャイムを鳴らしてください。