学長 中根正賢
新入生のみなさん、入学おめでとうございます!
皆さんが受験を控えた昨年の春から今日まで、新型コロナウイルス感染症とのたたかいが社会や地域、教育現場で続いています。
このタイミングは、非常にアンラッキー・アンフェアです。悔しい思いや苛立つ気持ち、さまざまな思いがあるでしょう。でも、この時間は永遠に続くわけではありません。コロナ禍といわれる中でもできる ことはあります。
今日は、みなさんに2つの言葉を贈ります。
ひとつは、「艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉(たま)とす」です。
「艱難」とは「困難」や「逆境」という意味です。英語でいうと、Adversity makes a man wise. つまり、苦しいことつらいことがあっても、それを乗り越えて人は立派に成長できるという言葉です。と言われても、このコロナの時期、ピンとこないかもしれません。
私はあえて、「艱難汝を玉とす」の「玉」を「友」に置き換えてみました。「艱難汝を友とす」としたら、どうでしょう。
世の中は何事も順風満帆で進むわけではありません。常に逆風がついてまわります。人はみな困難を抱えて生きているという自覚があれば、同じ境遇の人に心を通わせることができます。また「困難を友として、ともに生きる」という覚悟があれば、重く塞いだ気持ちも少しは軽くなるのではないでしょうか。
もうひとつの贈る言葉。それは本学の建学精神を表した「大覚円成 報恩行持(だいがくえんじょう ほうほんぎょうじ)」です。
「大覚円成とは万物の存在の尊厳性を示しています。」人はこの世に生を受けたときから、すでに尊い存在なのです。慈しまれ、生かされた人間が世のため人のために為すべきことを為す、持てる力を社会に役立てていくのが「報恩行持」です。一つひとつの人の命は多様性に満ちています。人は皆育ってきた環境も考え方も違います。ですから、お互いの意見を尊重しながら、人としての尊厳を忘れずに、人生の中で遭遇するさまざまなハードルを乗り越えていってほしいと思います。
私は長年、僧侶として過ごしてきました。これまで教壇に立ったことはありません。こうして学生さんを前に、語りかけることにも慣れていません。そういう意味では、私も正真正銘の「新入生」なんです。ですから、試練の時こそ、初心にかえり、皆さんと一緒に学んでいく姿勢を持ち続けます。
また、皆さんは自分の頭で考えて、将来の夢や目標に向けて必要な準備をすることも大切です。その過程では、失敗も心が折れることもあるでしょう。でもそれが当たり前、私自身もそうでした。そのときは、「艱難汝を友とす」を思い出してください。
一日も早く、皆さんの明るい笑い声に包まれるキャンパスが戻ることを願ってやみません。そのための、環境づくりを教職員の方々と進めていきます。どうか自分を大切に、身近な友人や家族の声にも耳を傾けて、この困難をともに乗り越えましょう。