人々が、自分の歯を保存し、良く噛めて美味しく食べられるだけでなく、いつまでも健康で美しい口元で過ごせるよう治療を行う歯科の一分野が保存学です。その中で、私たちが専門とする保存修復学は、むし歯や外傷などによって歯が崩壊した部分を、高分子材料、メタル、セラミックスなどの材料を使って修復し、元通りの形や機能に回復することを目的としています。
むし歯の治療というと、「削って詰めて」と考えがちですが、むし歯になるメカニズムの解明が進み、歯科材料や修復技術が進歩してきた今の考え方は違います。
むし歯の治療は、このような総合的な方針で行うように変容してきています。
私達の講座は、歯科学生教育の現場において、このような保存治療ができる歯科医師を育てています。また、日々の診療ではこの治療方針を遵守しています。これらに加え、歯科材料や治療技術のさらなる発展をめざし基礎・臨床的な研究を行っています。
診療においては、う蝕の原因や病態に目を向けた、より生物学的な考察に基づいた保存修復治療を心がけています。できるかぎり歯質を保存することが歯髄の保存と健全な歯周組織維持につながり、ひいては歯の健康長寿につながるとの認識から、日々の臨床では歯科接着の技術をフル活用し、常に必要最小限の歯質切削で最大限の治療効果をあげるよう努めています。
加えて私達が持つ視点は、う蝕のリスク低減をはかり、確かな検査と診断に基づきう蝕の予防や管理に努めることです。また、変色歯や着色歯のホワイトニングを専門とする“白くて美しい歯の外来”は当講座が担当しています。
歯内療法学とは、歯の硬組織疾患、歯髄疾患および根尖歯周組織疾患の診断、治療ならびに予防を扱う臨床系学問です。
歯髄組織や根尖歯周組織の急性炎症は患者さんを悩ます激しい痛みの原因となります。歯内治療は歯科治療の中でも非常に微細な部分を扱う分野であり、治療には手術用実体顕微鏡や歯科用エックス線CTが頻繁に使用されています。
歯内治療は歯科治療の基本であると同時に、専門的知識と技術が求められる臨床科目でもあります。
歯内治療とは、虫歯の進行などにより歯髄(歯の神経)に病変が起きたり、歯根先端の周囲組織に病変が広がったりした場合に行われる処置で、一般には「根の治療」「神経の治療」と言われています。常時、専門スタッフが診療し、必要に応じてエックス線CTや手術用実体顕微鏡を用いて最良な方法を選択しながら治療を行っております。
通常の方法では治癒しない症例には、外科的手術(先進医療認可施設)を施すことによって良好な結果を得ることができます。
歯周病学講座は、歯周疾患とその治療法について研究、教育および診療を行っている講座です。
歯肉からの出血や腫れなど、炎症症状を示す歯肉炎や、歯を支持している組織や骨(歯槽骨)が破壊されて、歯のぐらつきを引き起こす歯周炎の治療を中心に、歯周病により発生する口臭等の予防も併せて行っています。
<歯周治療(歯肉炎や歯周炎の治療)>
歯肉炎や歯周炎は歯の表面に付着している歯垢(プラーク)や歯石が原因で引き起こされる疾患です。基本的な治療法は、原因の除去である歯磨き指導(プラークコントロール)と歯石除去です。病状が進行してしまった場合には、歯周外科治療や歯周組織再生療法(GTR法、エネメルマトリックスタンパク、多血小板血漿 など)を行ったり、口腔軟組織の形態改善を目的とした歯周形成手術などを行っています。
当講座では、特定非営利活動法人 日本歯周病学会認定の歯周病専門医(指導医含む)や認定医が在籍し、患者さまの歯周治療に寄与しています。
当講座では基礎から臨床まで、幅広く研究をしておりますが、基本コンセプトは臨床への応用です。
2023年度より、「有床義歯補綴学講座」と「高齢者歯科学講座」が統合し、新しい講座として再出発しました。新講座の名称は「口腔リハビリテーション補綴学講座」となりました。
本講座は超高齢社会の進展に適応し、社会的ニーズにマッチした臨床講座の方向性を明確にし、国民の口腔機能の向上に大きく貢献する活動・運営を目指します。新講座名には従来の「義歯やインプラント診療で機能向上を図る」、「補綴装置により欠損を形態的に回復させる」という有床義歯補綴の展開に加え、「口から食べる・話すという生活機能を賦活させる」、「リハビリテーションの口腔内装具の可能性を追求する」という意味合いを込めました。すなわち、外来診療のみならず、在宅医療や摂食嚥下リハビリテーションも包括することになりました。講座の統合により活動範囲が従来より大幅に拡大されただけでなく、新材料や臨床術式の改善・開発を含めて、最先端の深い奥行きをもった教育(研修)・臨床・研究を目指します。
クラウンブリッジ補綴学講座 写真歯の欠損部を歯冠や義歯などで補い、噛み合わせを回復させるための専門科です。
口腔外科と協力して、インプラント(人工歯根)や顎関節症の治療などを行い患者さんの要望に応えています。
歯の欠損部を歯冠や義歯などで補い、噛み合わせを回復させるための専門科です。
口腔外科と協力して、インプラント(人工歯根)や顎関節症の治療などを行い患者さんの要望に応えています。
各教室員が独自性をもって、教授の管轄下で自発的に活動しています。研究は多方面にわたって企画され、他大学(東京都市大学、東京慈恵会医科大学など)と共同研究も盛んに行っています。
主な研究内容はCrやBrの臨床的検討、補綴装置の統計調査、支台築造、接着、インプラント、Minimal intervention、教育、顎関節症、咬合、下顎運動など、これからの補綴臨床に大きく貢献できる可能性を秘めています。
鶴見大学歯学部口腔顎顔面外科学講座は、「Welcome to our clinic !」 を教室の基本理念に掲げ、「Keep our research mind !(探究心を持ち続けろ!)」と「Make our history ! (歴史を作れ!)を教室員同士の合い言葉に、臨床、研究、教育に邁進しています。
当講座の組織構成上の大きな特徴は、連携する総合病院に50名以上の教室員を常勤医として派遣していることです。また、これらの病院のほとんどが(社)日本口腔外科学会の研修指定施設あるいは連携研修施設となっており、いずれの病院に所属していても、口腔外科専門医や指導医への道が開かれています。
現在、当講座の臨床・研究における専門分野としては、口腔癌、顎変形症、 顎関節疾患、顎口腔機能の外科的再建とリハビリを挙げることができます。各分野とも40歳代で新進気鋭の リーディングスタッフが陣頭指揮を執っており、必要に応じて学内のみならず、他大学や連携する総合病院、あるいは研究施設との有機的なネットワークを活かし、質の高い臨床と研究を展開しています。
口腔癌の治療 :
口腔癌の治療は、癌病巣への攻撃のみならず、癌を治した後の機能回復、つまりQuality Of Life (QOL)の維持・回復を念頭に置いたものでなければなりません。当科では、癌切除後の機能再建外科に注力すると同時に、術後早期からの摂食・嚥下・会話機能に対するリハビリテーションや顎義歯の装用といった、患者さんの早期社会復帰を目指す治療プランを実践しています。また、患者さんの病状に応じて、超選択的動注化学療法や特殊な放射線療法(サイバーナイフ、重粒子線など)も、病病連携のネットワークを活かして導入しています。
顎変形症 :
矯正科や補綴科との合同カンファレンス(月1回)で討議のうえ、手術方法を含めた治療方針を決定しています。学外の矯正医との連携も行っています。また、顔面非対称の顕著な症例など、顎矯正手術時の骨片の移動量や移動方向の予測が困難な場合でも、CTデータに基づいた3次元の手術シミュレーションを行うことで、安全で予知性の高い手術を実現しています。
顎関節疾患 :
顎関節症に関しては、保存療法から最終兵器である開放形成術(当科オリジナルの低侵襲手術で術後回復が早い)まで、エビデンスに基づいた系統的なシステムに則って行っています。他の顎関節疾患についても、ほとんどの病態を経験しており、自信を持って対応できる診断・治療体制が整っています。
以上の他、必要に応じて適切な医療機関との連携を図りつつ、あらゆる口腔顎顔面領域の疾患に対応しています。
当講座の研究テーマは、口腔癌、顎変形症、顎関節疾患、顎口腔の機能再建に関するものがメインで、各疾患・病態に対するエビデンスに基づいた診断・治療体系の確立を目指すものです。
純粋に臨床データを収集解析するものから、臨床サンプルの基礎医学的手法による解析や動物実験による検証によって病態形成や治療効果発現のメカニズムに迫るものまで、いくつかの研究テーマが同時進行しています。
研究活動の中心は大学院生で、学内基礎講座ならびに学外研究機関(国立病院機構相模原病院)のご指導も頂いております。
口腔内には、う蝕や歯周病以外にも腫瘍や粘膜疾患、口腔乾燥症(ドライマウス)など、口腔領域のみならず全身にも大きな影響を与える様々な疾患が生じます。
口腔内科はこのような疾患の診断、患者様にとってより負担の少ない低侵襲的な治療を積極的に行うことにより、よりよいQOLを維持した口腔機能の回復、維持に貢献する新しい歯科医療の教育、臨床、研究を推進する講座です。
手術を中心とした従来的な口腔外科的診療に加え、口腔癌に対する樹状細胞療法など先進医療を積極的に取り入れ、腫瘍、粘膜疾患、唾液腺疾患、口腔内にも症状が生じる血液疾患、神経疾患、自己免疫疾患などの診断、治療を行っています。
また、超高齢社会を迎えた現在の日本の現状に合わせた要介護高齢者に対する口腔機能の維持、回復を目的とした入院型歯科診療の提供、先進的検査による歯科人間ドックの設立にも取り組んでいます。
教職員すべてが次世代の医療技術の開発、確立を目指した研究に積極的に取り組んでおり、また他大学との共同研究も盛んに行っています。
主な研究テーマは
など、将来の歯科医療の発展に大きく貢献する課題に取り組んでいます。
現代の人は健康であると同時に美しくありたいと思っております。明るく澄んだ目ときれいにならんだ白い歯は大きな要素です。歯科矯正治療とは歯並びをきれいに整えると同時に上の歯と下の歯の噛み合せを改善し、食物を良く咬めるようにするとともに口もとを美しく整え、さらには言葉をうまくしゃべれるようにすることを目的としています。すなわち、患者さんの健康の増進( Health promotion )をはかることを目的とした歯科医学の一分野です。
当講座の外来では、一般的な不正咬合のほか、顎変形症や顎機能異常(顎関節症など)、口蓋裂、先天異常などの治療にあたっています。特に顎変形症や口蓋裂、先天異常に関しては、口腔外科、補綴科、インプラント科など他科との連携を密にして診療にあたっています。
基礎的研究
臨床的研究
1971年2月16日に鶴見大学歯学部小児歯科学講座が開設され、50年近く経過しました。
現在、小児歯科学講座には常勤歯科医師が30名在籍しており、全国の大学歯学部および歯科大学の小児歯科学講座の中で、トップクラスの医局員数を誇っています。時代の変遷と共に、子どもの疾病構造は大きな変化を遂げ、治療から予防、そして機能の育成が求められる時代になりました。そこで、当講座では、大学病院としての使命は勿論のこと、地域医療に貢献できる若手小児歯科医の育成にも積極的に取り組んでいます。
具体的には臨床研修を終了した卒後2年目の先生を対象に、ベーシックコースを開講しています。ベーシックコースは、小児歯科医としての基礎的知識および技能の修得を目的に、原則として2年間で研修は終了します。さらに、アドバンスコースでは、咬合誘導、小手術、全身麻酔下での歯科治療を経験し、小児歯科専門医になるための研鑽を積んでもらいます。現在、小児歯科専門医指導医5名、小児歯科専門医5名が中心となり、専門医取得を目指す医局員の教育に携わっています。
また、学生教育にも力を入れており、4年生では小児歯科学総論および各論を勉強し、そこで得た知識を5年生の臨床実習に繋げ、6年生では基礎的事項と臨床実習を融合する形で、歯科医師国家試験に対応する完結型教育を実践しています。
健常児の口腔機能の育成は勿論のこと、心身障がい児や有病者における口腔健康管理にも積極的に取り組んでいます。
全身麻酔症例の多くは、関連病院からの紹介で、小手術に関しては開業医からの紹介が多くを占めており、地域医療機関との連携が機能していると考えています。さらに、地域医療機関との連携体制をより強化するために、府中療育センター、都立多摩療育園、世田谷区歯科医師会口腔衛生センター歯科診療所、横浜市歯科保健センター、小田原市歯科二次診療所、厚木歯科医師会障害者歯科センターに指導医を派遣し、心身障がい児や有病者の歯科診療にあたっています。
臨床研究としては、
研究を進めています。
また、基礎研究としては、
をテーマに臨床応用に向けた取り組みを行っています。
口腔顎顔面放射線・画像診断学講座 写真1895年にレントゲン先生がX線を発見し、X線は医療になくてはならないものになりました。体の断面を映し出すCT、近年では歯科用コーンビームCTが開発され、人体のあらゆる細かい部分の画像を得て診断することができるようになっています。
また、X線を使わない超音波断層検査とMRIの開発で軟組織の画像診断を容易にできるようになりました。
このような最新の診断装置、高度で正しい画像診断能力、安全な質の高い歯科医療人をめざし、 本講座は教員(歯科医師)と附属病院の診療放射線技師が一丸となり、毎日学生教育および臨床画像検査・診断・治療にあたっています。
X線は目に見えませんが、骨や歯の中の構造を確認スルコトが出来ます。検査法が異なれば、得られる画像情報も変わります。三次元情報をもたらす歯科用CT(コーンビームCT:CBCT)は歯科疾患の診断には有効な画像検査器機です。
虫歯や歯周病の様子、骨や関節の異常などを検査し、治療に不可欠の重要な情報を各科に提供しています。
医科用CT、歯科用CT、MRIの先進医療診断装置を設備し、一般開業医の先生からは診断困難な歯顎顔面領域の疾患の診断や顎関節症の診断、治療方針の決定、さらに関節腔内の内視鏡検査(ファイバースコープ)で関節腔内の癒着をはがす治療なども行われています。
インプラント術前検査として歯科用CT、医科用CT検査を行っております。
また、最も少ない被曝線量で最も良い画像が得られるような工夫および積極的に他科との連携を取り患者さんに最も有効な画像検査の選択をし治療に結びつけています。
歯科麻酔学講座では、「すべての患者さんに痛くなく怖くもなく、不安も感じず、そして快適で安全に歯科治療や口腔外科手術を受けてもらうこと」と「顔や口の難治性の痛みや麻痺を持つ患者さんを、辛くて不自由な生活から解放すること」を実現するための臨床、教育、研究を行っています。
前者の「すべての患者さん」とは、歯科・口腔疾患をもつ患者さんだけでなく、高血圧、狭心症や糖尿病などのいわゆる全身疾患を持つ患者さん、精神発達遅滞、自閉症、脳性麻痺などの障がいを持つ患者さん、口腔顎顔面領域の疾患で附属病院に入院されている患者さんなど、その通りすべての患者さんです。
そのため、歯科治療や口腔外科手術の、よりよい周術期全身管理をどのように行えば良いのかといった観点で臨床、教育、研究に取組んでいます。また、口腔顎顔面領域の難治性疼痛疾患や、顔面神経麻痺などの痛みや麻痺に関する臨床、教育、研究にも取組んでいます。
周術期全身管理は、歯科治療や口腔外科手術の全身麻酔、精神鎮静法による術中管理、さらに術前術後管理を行っています。全身麻酔は年間約500症例、精神鎮静法は年間約1,000症例に行っています。
難治性疼痛疾患や麻痺などの治療を行うペインクリニックでは、三叉神経痛、舌痛症、歯科治療後の痛みや麻痺などに対する治療を年間延約2,500症例に行っています。さらに院内救急事態への対応も行っています。
基礎研究では、中枢神経系を対象として歯科治療によって生じる不安や恐怖などの陰性情動の発現機構や、歯科治療ストレスを軽減させる薬物療法に関する研究を行っています。また、新たな局所麻酔薬の投与法に関する研究も行っています。
臨床研究では、気管挿管に使用する新たな医療器具の開発、術前経口補水療法に関する研究、歯科治療ストレスモニターに関する研究を行っています。
昨今、歯科を受診する患者さんも高齢化し全身疾患をもっていることがしばしばです。従って歯科医師には、これらの疾患に関する深い理解が必須です。それどころか、歯科医師として知らなければならない全身疾患に関しては、内科医もよく知らない歯科に特有の問題もあり、中途半端な内科のダイジェスト版では実際の臨床で役に立たないのです。
内科学では、循環器・呼吸器・消化器・肝胆膵・神経筋・血液・腎・内分泌・結合織・代謝など全身に関わる疾患を理解するための講義と実習を行います。この中には心電図、レントゲン写真、血液生化学検査の解釈なども含まれます。
歯科診療に必要な内科の講義や実習は、疾患の重症度評価、緊急症発生の回避、緊急症発生時の救急対応、口腔顎顔面に症状を示す全身疾患の鑑別、全身疾患治療への口腔からのアプローチなどに重点を置いていますが、その根底にあるのは「全身の一部である口腔顎顔面を扱う歯科医師は、当然、人間の精神身体のすべてを知らなければならない。」という考え方です。すなわち「歯科学」、「歯科医学」を包括する「口腔医学」の修得を目指しています。
歯学部附属病院に、「内科・循環器科外来」を開設し高血圧症、虚血性心疾患、心不全、不整脈などの循環器疾患、膠原病、関節リウマ チ、糖尿病、脳血管疾患、気管支喘息、などの内科疾患全般の外来診療をしています。
また歯科患者がこれらの疾患を合併する場合に対応します。
「卒煙外来」では禁煙の手助けをしています。2011年の当科外来患者総数は6041名でした。
補綴科・歯科口腔外科・歯科放射線科と連携して睡眠時無呼吸症候群、とくに睡眠時無呼吸症候群の成因、口腔内装置や鼻持続陽圧呼吸による治療効果に関する研究を行っています。
また他施設と共同で心不全や動脈硬化に関する研究を行っています。
鶴見大学眼科は主に前眼部、水晶体疾患を専門としています。白内障は多焦点水晶体挿入も行っています(税抜47.8万円です)。白内障手術に限らず、角膜移植依頼や重症アレルギー性結膜疾患患者が紹介されております。眼科開設後15年が経過し、紹介患者、外来患者数も増えています。研究は免疫、アレルギー反応関連を行っており、毎年5報近く報告しました。教育に関しては歯科学生教育とともに、FFVというNPOを組織し、眼科国際医療協力を中心に国内外での白内障手術インストラクションコースや途上国での無料白内障手術協力を行っています。(眼科機器の不用品を募集しています!)。
明日の歯科医療を共に創造する歯科技工士を育成する
患者さんの健康と幸せに歯科医療は大きく貢献しています。特に近年、生体材料の開発、コンピューターテクノロジーの応用、再生医療の導入等により、飛躍的に進歩を遂げています。しかし、どれほど歯科医療が発達したとしても深い知識と高い技術に裏付けされた歯科技工は必要不可欠です。本学での技工研修を通して、チーム医療の一翼を担う歯科技工士にぜひ成長していただきたいと願っています。明日の歯科医療を共に創造し、共に支え合う歯科技工士が今まさに求められているからです。
歯科技工研修科科長
有床義歯補綴学講座教授
大久保 力廣
本学歯学部付属病院に来院した患者さんの症例技工を担当しています。
[全部床義歯、部分床義歯、顎義歯、金属床義歯、金属構造義歯、インレー、クラウン、ブリッジ、レジン前装冠、陶材焼付冠、オールセラミッククラウン、精密アタッチメント、インプラント補綴装置、インプラントオーバーデンチャー、エピテーゼ、下顎骨再建用チタンメッシュトレー]
口腔解剖学講座(旧解剖学第一講座)および解剖・組織細胞学講座(旧解剖学第二講座)は、令和3(2021)年4月より解剖学講座となりました。
当講座では、鶴見大学紫雲会(篤志献体組織)と緊密に連携し、献体活動を通じて医学の基盤となる解剖学の教育と研究に取り組んでいます。歯科医学の発展を願って献体された方の志は、歯科医師としての社会的使命を自覚することに大きく貢献しています。
これを基本に、肉眼解剖学では、全身の浅層から深層にむかって個々の臓器の構造と相互の位置関係を学ぶとともに、人体全体のシステムを系統的に理解します。また組織学および口腔組織学では、全身の臓器を顕微鏡的視点で観察することにより、構成単位は何か、臓器相互の共通性と特殊性、臓器の構造と機能との関係を学ぶことになります。
臨床歯科医学を原点に臨床各講座と連携し、マクロ解剖学的な研究方法に加えて微細構造的、免疫組織化学的研究方法を取り入れ、マクロからミクロまでシームレスに研究を展開しています。
私たちの講座は口腔感染症の原因微生物の病原性を細菌学的・分子生物学的に明らかにするだけでなく、口腔生態系を構成する口腔常在微生物叢を包括的に捉える研究を行っています。また、多くの臨床系講座と連携し、臨床口腔微生物学と呼べるような他の誰も手掛けていないような研究を目指しています。
教育面では、学生さんたちに歯科医として必要な微生物学の知識が確実に身に付くような講義と実習を提供することを常に心がけています。本講座で行う講義や実習によって、口腔常在微生物が口腔感染症の原因になることや無菌操作の重要性および歯科医療行為に関連する感染症など、歯科医として必要不可欠な知識が身に付くと考えています。
また、研究マインドを育成するために、自由に講座内で実験ができるような環境作りをしており、本講座で行った研究成果をさまざまな学会で発表する学部学生の数が年々増えてきていることは教育を担当する私たちの成果でもあります。
虫歯を直したり、入れ歯を入れたり、歯並びを良くしたりする時、色々な材料が必要です。歯を削る時には、エアータービンという器械が使われています。
歯科理工学教室では、このような虫歯につめる詰めもの(充填材)、入れ歯の材料(義歯用材料)、歯の型をとる材料(印象材)などの歯科材料やエアータービンなどの歯科器械に関する教育・研究を行っています。近年、注目を集めている再生医療のための足場材料や骨を作る材料などの生体材料の開発にも積極的に取り組んでいます。
歯科理工学の対象範囲は非常に広範囲です。各自がそれぞれ研究テーマを持って、講座や大学の枠組みを超えて幅広く他講座・他大学と連携して研究を遂行しているのが大きな特色です。海外の大学との交流もあります。
今、入れ歯の代わりに人工歯根(インプラント)による治療が注目されています。インプラントにはチタンが主に使われています。どうすれば、チタンが顎の骨や歯肉と良くくっつくようになるか、“表面改質”と言う研究をしています。再生医療のための細胞がよく育つ“足場材料”の開発もしています。
また、口の中で使われている入れ歯や金属のかぶせ物を壊すことなく性質を調べる“非破壊検査”を行って、今使われている材料の問題点を見つけて、より良い歯科材料や歯科技術を開発する研究も行っています。
鶴見大学歯学部生理学講座のホームページへようこそ。
口腔生理学と一般生理学は独立した学問でなく、密接に連携している学問であることが分かってきました。我々は口腔生理学と一般生理学の関連性を常に考慮しながら学生教育ならびに研究を進めていきたいと考えています。
学生教育では正常生理機能の基本的理解を目指すとともに、一般生理学講義では糖尿病や動脈硬化の原因の一つとして咀嚼機能の低下をあげるとともに、口腔生理講義では咀嚼嚥下機能低下に起因する口腔内感染菌から、種々のサイトカインが遊離されてインスリン抵抗性や動脈硬化を促進するといった関連性についても強調し将来臨床歯科の現場で全身疾患も理解できる歯科医師を育てていきたいと考えています。
基礎研究を臨床研究に還元していくことは、基礎研究者にとってきわめて重要な任務であると我々は考えています。
臨床系各教室との共同研究を進めています。
分子生化学では、生命の構造と機能に関与する重要な物質について学習します。これらの物質の働きを知ることにより、生命の正常な状態及び病的状態を分子レベルで理解することを目的としています。
講義は3段階に分けられ、最初の一般生化学では生命の物質的基盤を学び、次の口腔生化学の講義と実習では口腔領域の重要な物質について詳細に学習します。
これらの理解の上で、最後の分子生化学では遺伝子情報の処理、細胞のシグナル伝達機構など生命科学の最先端の問題を学習します。
これらの基礎知識をもとに、他の科目と連携しながらレベルの高い歯科医療のできる人材の育成に貢献したいと考えています。
分子生化学講座では、歯とそれを支える歯周組織を構成しているタンパク質について、その設計図であるDNA遺伝子とともに詳細に研究しています。
なかでも歯や歯周組織の再生を促進する重要なタンパク質を発見し、再生治療に応用する事を目標の一つにしています。
先端科学の進歩に伴い、病理学で取り扱う様々な疾患の概念が急速に大きく変わりつつあり、既存の教科書では対応出来ないことが指摘されています。加えて自然科学におけるテクノロジーは格段の進歩を遂げているにもかかわらず、その成果は細分化された個々の領域での知見にとどまっていることから、現在の病理学は様々な領域を統合した学問として新たに再構築されなければなりません。
当講座では生命の仕組みをミクロからマクロまで総合的に理解させることにより修学意欲の向上を図ることを目標に、最先端の生命科学の動向を的確に捉えながら、分子生物学、遺伝学、発生学、免疫学を通して病理学教育を行っています。
歯科医師は虫歯や入れ歯の治療をするというイメージがありますが、それだけではありません。歯科医学・医療には口元の美しさを目指す医療、高齢者に貢献する医療、口からはじめる全身の抗加齢医学や再生医療など最先端の基礎研究など多岐に渡ります。
当講座では、これらに必要な専門的な知識と高い技術を身につけ附属病院で実践を行っています。
ドライアイやドライマウスを生じるシェーグレン症候群の病因解明や、診断法・治療法の解明に取り組んでいます。
唾液腺をはじめ様々な臓器の再生を目指して、基礎研究と共に再生医療の臨床応用を視野に入れ可能性を探りながら、附属病院のドライマウス外来と連動し、基礎研究を臨床に還元するための研究を行っています。
1)教育
学部 :
開講科目:薬物動態と適応(2年)、薬物の種類と薬理作用(2年)、 歯科薬理学実習(2年)
統合科目として成長と老化(1年)、神経と運動の生理(2年)、分子生物学(2年)、生命の機能的メカニズム(2年)、栄養学(3年)、加齢の科学(4年)
総合歯科医学Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ を担当
大学院 :
研究指導は随時、演習としては 毎週月曜12時15分からのジャーナルクラブ、プログレスミーティング、不定期に開催される Bone Biologyセミナー
2)研究
人に個性があるように、体を作っているそれぞれの細胞にも、別の細胞とは異なる特徴がある。その細胞らしさ、とはどのようにして作られるのか?歯学部が扱う、歯や骨を作る細胞について、それが生まれる仕組み(硬組織の発生)、細胞らしさができあがる仕組み(分化)、口腔組織や骨が維持されるしくみ(代謝)を知りたいと思って研究しています。さらに、薬のような外からの刺激で歯や骨を作ることが出来ないか(硬組織の再生)と夢見て日夜研究を行っています。
これらに取り組むことで臨床上の課題を解決する基盤を提供したい。
歯科医師法第一条「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」。この崇高な理念に基づき、当講座では口腔保健・予防歯科学(歯科医療と保健指導)、公衆衛生学(公衆衛生の向上及び増進)の教育・研究を担当しています。その範囲は、個人の疾病予防対策から社会全体の保健・医療・福祉施策まで広範囲に渡ります。
虫歯、歯周病細菌の特徴を調べ、疾病予防につながる研究に取り組んでいます。
口腔疾患予防につながる自然由来物質の探索を行っています。
地方自治体、地域歯科医師会と協力し、地域住民の健康状態の実態を調査しています。
「法医学」とは「法律上問題となる医学的事項について、専門的な解釈と問題点の解明を提供する」学問です。
私たちの教室では、3年前期の「歯科法医学」及び4年前期の「社会歯科学」を通して、歯科法医学的な基礎知識と判断力を養うとともに、歯科医師としての社会性及び倫理性に関する教育を行なっています。
一方で、平成23年3月11日に発災した東日本大震災においては、警察庁からの要請を受け、現地で犠牲者に対する検案支援活動を実施するなどの社会活動に従事しています。
また、個人識別等の鑑定の他、歯科医療過誤等に関連する歯科医事紛争についての鑑定を行っています。
2020年に新設された歯科医学教育学講座は、新時代を見据えた歯学教育の大幅な拡充と個々の学生に応じたきめ細やかな教育の実践を図り、これまでの講座主導による教育を再評価、統括し、新しい教育システムの提案や改善、実際の運営を行っています。
具体的には、
等を実施しています。
生物学研究室では基礎歯科医学領域につながる生物学の知識、技能を修得する目的で、1年生対象の細胞生物学、基礎生物学、ヒトの細胞遺伝学、2年生対象の発生学を中心として講義を行い、また演習科目として1年生対象の生物学演習を開講しています。これらを通して技能、態度および動機付けの向上を目指しています。1年生後期には実験演習を中心とした選択必修科目として動物の骨格標本作成を行い、自発的に実験計画を立て問題を解決していきながら実践するユニークな科目も開講しています。
学生が自由に出入りできる開かれた研究室を目指しているところです。
神奈川県のカエル類の産卵数調査を通じて、環境と両生類の発生・生息状況についての研究をしています。また、学内や總持寺境内の動植物の調査や観察を通じた環境教育にも携わっています。(阿部)
歯学部1年生の理科基礎教育の一環として化学の授業を担当しています。一般化学、有機化学、安全教育等の内容について講義、演習、実習を行っています。
化学は物質を扱う仕事をするときに必要な科目です。覚えなくてはいけないこともありますが、仕組みを理解することが重要です。基礎の基礎から歯科医師として必要なことまで、工夫をしてわかりやすい授業をすることを心がけています。
化学に関しては、担当授業以外のことでも、理解できるまで説明をするようにしています。いつでも気軽に質問に来られる研究室です。
有機合成化学、糖質化学を専門としています。
歯学部の一般教育を担当していますので、最近では、有機化学の視野に立った教育用の器具、安全な実験方法、教育用のコンテンツなど教育方法手段の開発にも興味を持って行っています。
物理学 I、II、III、情報リテラシー、日本語コミニュケーション、医療人間科学、鶴見教養学、基礎科学演習を担当しています。
物理学 I、II、III では歯科医学、生命科学を修得するために必要な力学、波動、電磁気学、原子の構造といった物理学の基礎知識を習得することが目標です。高校で物理を選択していない学生さんでも理解できるような講義を心がけています。
情報リテラシーおよび日本語コミニュケーションでは、歯科医学、生命科学を修得するために必要な情報の収集と発信、正しい日本語、他者との円滑なコミニュケーションにおける技術の基礎を習得することが目標です。
鶴見教養学、基礎科学演習は1年生の一般教育で学ぶ物理学、化学、生物学と2、3年生の専門課程で学ぶ生理学、生化学、組織学、解剖学、理工学等を学ぶためにどうしても必要な“科学的なモノの見方”を修得することが目標です。
歯学部1年生の基礎教育の一環として、数学の授業を担当しています。
内容は、統計解析と情報処理です。統計解析の中心的課題は統計的推定と統計的検定です。この推定と検定は、学術論文を書くときや読むときには必須となる手段ですが、歯学部の場合には、統計学の数学的理論よりも統計処理の手順を具体的に学ぶことの方が大切です。
したがって、講義では表計算用ソフトのEXCELや統計解析用ソフトのSPSSを使った統計処理を重点的に勉強します。
分散分析、多重比較、多変量解析、共分散構造分析、ノンパラメトリック検定、カテゴリカルデータ分析、一般線型混合モデル、アンケート調査法、時系列分析などを専門としています。
語学を中心とする人文科学系の講義を担当する研究室である。
研究室は、専任教員(木村利夫教授、Asiri Jayawardena学内講師)の他に、多くの非常勤講師の先生方からなり、それぞれの専門の研究とともに、歯学部生にとって有意義な時間となる授業作りを心掛けながら教育活動を行っている。
スタッフ一同、学生にとって出入りしやすい開かれた研究室になることを願っている。
木村 利夫 :
18世紀から19世紀中頃に英米で出版されたチャップブック、英米を中心とする伝承文学や児童文学、また、現代の日本人作家の児童文学や「ゆるキャラ」を含む日本の「ポップ・カルチャー」、「サブ・カルチャー」をキーワードとする研究を行っている。その他には、英語科教授法についても研究を行っている。
Asiri Jayawardena :
I have been engaged with research on dental lasers, particularly, on laser-tissue interactions in both hard and soft dental tissues. In addition, I’m also working on ways in effective application of technical English in the curriculum of Japanese dental schools.